大切な人が がん になったら、あなたはどうする? ~2年生がん教育~

 

日本では、現在2人に1人ががんにかかり、4人に1人ががんで亡くなっています。がんが大変身近な病気になっている現状を踏まえ、がんに関する知識やがん患者の方への理解を深めることができるよう、学校や社会全体でがん教育を進めていくことが推進されています。保健体育の授業でも、生活習慣病などについて学ぶ際に、がんの要因と予防や早期発見と治療について概要を学んでいます。さらに、外部講師によるがん教育も国や県で進められています。そうした中で、本校も昨年度に続いて、医療に関わっていらっしゃる講師をお招きして2年生を対象にがん教育を行いました。

今回は岐阜県総合医療センターで、乳がん看護認定看護師の資格をもち勤務されている渡邉様に講師をお願いしました。乳がん看護認定看護師というのは、患者さんの悩みなどに相談に乗ったり、家族への関わりを一緒にしながら、看護師という立場から患者さんとその家族のケアをしていく仕事です。

 

まず、看護師になるための道のりや岐阜県総合医療センターについて説明していただきました。

続いて、がんの罹患率や治療、乳がんの啓発運動である「ピンクリボン運動」について聞きました。また、医療の進歩により、昔と今でどんなことが変わってきたかを具体的に教えていただきました。早期発見で治る人が増えていること、がんが再発しても使える薬が増えたこと、副作用のない治療も増えていること、緩和ケアで痛みや辛さを和らげることができること、入院治療ではなく外来での治療が中心になっていること、生活習慣の改善やワクチンなどで予防できることもあることなど、昔はがん=死などマイナスなイメージが多い病気でしたが、変化してきていることも教えていただきました。

がんと診断された方の様子やその変化も具体的に教えていただきました。診断された当初はやはり大変なショックを受けられるそうですが、2週間ほどすると「これからどうしよう」と生活や仕事、家事のことなどや、周囲への伝え方などいろいろなことを考えられるようになるそうです。その間に心の整理がされるそうです。そして、やがて治療と向き合い、「今までどおり普通の生活をしたい」と安心して自分らしく生活できることを求められることが多いそうです。そんな時に支えになるのが周りの家族や友人などの温かい言葉です。だからこそ、身近な人ががんになったら、一人で抱え込まず、気持ちを語り合ってほしい、語り合うことで「一緒に歩んでいこう」という思いが生まれると教えていただきました。お互いの存在価値を確かめ合うことで、「あなたがいてくれるからがんばれる」といった心境になると話されました。

がんについての正しい情報を得るには、担当医に聞く、インターネットで調べるときはいつの情報か、信頼できるサイトかをよく確認する、確かな情報源から自分に合った情報を探すことが大切です。そのための参考としてさまざまなサイトも紹介していただきました。

最後に、今回のテーマでもある「大切な人ががんになったら、あなたはどうする?」と問われ、仲間と交流しました。

・接し方はこれまでと変えないで、自分にできることを見つけてやろうと思う。

・その人は不安な気持ちでいると思うので、本人に寄り添って、いつもどおりに生活できるようにしていきたい。

などの意見がありました。

自分がかかっても、身近な人がかかっても、一人で抱え込まずに、正しい情報をもとにしながら、大切な存在としてその人らしく生きていくことが大切であることを感じ取っていました。